六月の夜と昼のあわいに 恩田陸 序詞 鈴木孝太郎
恩田陸さんの「六月の夜と昼のあわいに」が、文庫本になりました。
詩と絵から紡がれた10の小宇宙。
と帯にあるとおり、
恩田さんが選んだ作品から着想しコラボレートした作品集です。
MisatoBan "Room" が、その中の一編「翳りゆく部屋」
の作品になっています。
表紙絵は村瀬恭子さん |
"Room" MisatoBan 2004 Oil on Canvas |
2009年に初版されて以来、月日が経って、改めて
いま読み返してみると、何かが変わったのでしょうか
以前の印象からさらに深みを増して私の前に届きました。
恩田さんの、本家取りやコピーなど創作についての興味深い
まえがきを読んだあとだからでしょうか、
翳りゆく部屋、読後、不思議な同一感を感じました。
これはコラボレーションさせて頂いた当の本人にしか
味わえない醍醐味だと思います。
自分で描いた絵であるにもかかわらず、
まるでもうその主人公の部屋であるかのように感じられて
頭の中が、言葉によってすっかり移行してしまっていて、
絵の部屋と同じであるはずのない部屋が
(だって私が絵を描いたのだから当然違う事はわかっているのに)、
同じ場所であったかのような、あり得ない「あわい」がふっと
立ち上がりました。
このような光栄な機会を頂きまして、再びここに
恩田陸さん、関係者みなさまにお礼の気持ちをお伝えしたいです。